
嘘も方便と言う言葉がありますが、意味は「事をうまく運ぶためには、一つの手段として時には噓が必要なこともあるのこと」です。
私もこのような経験がありますので、ぜひ馬鹿正直にならずに嘘も方便と言うテクニックを身に着けてください。
この話は、北陸新幹線が開通するちょっと前の工事中の富山駅での出来事です。
ウソをついたほうがいい場合がある!
駅の仮設階段の手前で、老夫婦がキョロキョロ辺りを見渡していたのです。
どこか遠くから来たんでしょうか、大きなスーツケースとボストンバックがありました。
私はそこを通り過ぎようとしたとき、お婆さんが私に言ったのです。
「ここはスロープとかはないのですかね?」
たった今、富山駅に降り立った私に、そんなことが分かるはずがありません。
私も辺りを見渡しましたが、近くにスロープは見当たりませんでした。
「今、工事中だから、きっと無いのかもしれませんね」
すると、老夫婦は困った様子でした。
「あの、よかったら、私がその荷物下まで運んじゃいますけど」
老夫婦は少し戸惑った様子でしたが、さすがにこの大荷物を自力で下まで運べないと思ったのでしょうか、謙遜しつつも「すいませんね」と、私が下階段の下まで運ぶことになりました。
そして、このお婆さんが言ったのです。
「やっぱり富山の人は優しいねえ」
「やっぱり富山の人は優しいねえ」・・・
あの、私、富山の人じゃないのです。
たった今、さっきの電車で埼玉から富山に到着した、バリバリの埼玉県人なのです(笑)。
「いや~、実は私埼玉県人なのですよ!」って言いたかったのですが、老夫婦は私が優しい富山県人であると決めつけてしまっています。
ここで本当のことを言うと、老夫婦ががっかりするだろうと察知したので、ここはしょうがないので、私は優しい富山県人を演じることにしました(笑)。
「いや、そうですかね?ははは・・・」
でも、富山県人を演じた瞬間、富山のことを聞かれたら困るなって思ったのです。
なんせ、今は“なんちゃって富山人”なのですから。
なるべく話題をフラれないようにとぼけた顔して荷物を運びました。
そして、改札口でその老夫婦とお別れして、やっとほっとしました。
ふう~、“なんちゃって”がバレなくてよかった。
日常会話は内容より雰囲気が大切
ここで振り返って見えると、あそこで埼玉県人と言わないで良かったと思いました。
あの老夫婦は、どこか遠方から富山にやってきたと思うのですけど、多分、息子さんか娘さんが富山にいるんだと思います。
そして、遠方から息子さんか娘さんに会いに、はるばる富山にやってきたので、駅で出会った好青年(私のこと)が優しかったら、富山の人はみんな優しいはずだと思いたいんだと思います。
そして、自分の息子さんか娘さんかが、そんな富山で暮らしているので、きっと幸せに暮らしていると安心することができるのです。
それを、バカ正直に「いや~、たった今埼玉からキタっす!」なんて言ったら、きっと老夫婦はガッカリすると思うのです。
こういう何気ない日常会話では、例え間違っていてもわざわざ否定しなくていいと思うのです。
その時の会話が楽しければ、それでいいのです。
日常会話の内容はあまり重要な内容ではありませんよね。
ですから、そこでは多少間違ったことを言っていたとしても、あえて訂正なんてしないほうがいいのです。
相手に気持ちよくしゃべらせてあげることが一番重要なポイントです。
ここで、一つだけとてもいい話をしたいと思います。
人はちょっと嬉しいことを人に自慢したいものなのです。
例えば、自分の子供が結構いい学校に進学したときとか、まるで自分が学校に行くかの如く、話をしている人がいたりします。
この人はとても気分よく話していると思うのですが、聴いている人は妬んでいるかもしれません。
自分が気分よく話している時は、聴いている方はあまりいい気分ではないことが多いと言うことです。
むしろ、相手にいい気分になってもらうために、自慢話ではなく、自分の失敗談等を話した方が親近感が持たれたりしてお得なのです。
話をしていていい気分になっていたら、ちょっとだけ我に返って相手がどんな気持ちになっているか考えてみることをお勧めします!
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