
物語は、私が生まれる前のあの世から始まります。
人間という経験をしたいのですけど?
店員)いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?
私)ポスターで、“地球ツアーズ”というのを見たのですけど、人気なのですか?
店員)ええそりゃもう、いま大人気です。ご存知のとおり、地球では物質という特殊な世界の体験ができまして、この世(生まれる前にいた世界)よりも圧倒的にエキサイティングなのです。ちなみに、“この世”と地球の世界では表裏の関係になっておりますので、地球に行ったら、そっちが“この世”でここが“あの世”となるのです。
私)すぐに行けますか?
店員)地球ではよりリアリティーな体験ができるように、あなたにとって最高のオリジナルのストーリーを作成してもらう必要があります。あなたと親密に関わる人たちの人選や役割も決めなければなりませんので、気軽にGO!というわけには行きません。
私)じゃあ早速参加手続きを初めたいのですが。
店員)はい、かしこまりました。それではまず、時代を選んで欲しいのですが、いつごろがいいですか?
私)オススメは?
店員)そうですねえ。個人の好き嫌いもあるでしょうから、一概には言えないのですが、20世紀までは暗黒の時代となっています。戦闘や格闘が趣味の方にはとても人気がございます。また、21世紀からは魂の時代になりまして、魂の修行をしたい人たちにとっては、最適な時代となっています。
私)私、痛いのイヤなんで、21世紀にしてください。(笑)。
店員)はい、21世紀ですね。それと、国を選んで欲しいのです。
私)国ですか?どこがオススメですか?
店員)うーん、20世紀ならばアメリカやロシアという国が軍事大国で面白かったのですけど、21世紀は経済の時代なのでね、まあ、アメリカ、中国、日本なんかが人気ですね。
私)そうですか。
店員)21世紀は魂の時代でもあるので、そこら辺をリードする国は日本になります。20世紀までは暗黒の時代でしたが、21世紀からは光の時代ですので、やはり“日の丸”を背負っている日本の役割は大きいですよ。
私)日本ですか。あの、すいません、大きな声では言えないのですけど、美人が多いのはどこですか(笑)
店員)あー、それ結構よく聞かれるのですよ(笑)。そうですねえ。ツアーから帰ってきたお客様のお話では、やはり日本がいいらしいですよ。日本には美人が沢山いるらしのです。この前、日本での記念写真を見せてもらったのですが、そりゃあもう、この世ではなかなかお目にかかれないほどのベッピンさんでしたよ。実は私も日本にツアーで行きたいなんて思っていたりして(笑)。ここだけのお話ですがね。
私)それじゃあ、日本にします。(笑)。ところで、添乗員さんはもちろんご同行していただけるのですよね。
店員)はい、各自に一人お付けいたします。
私)それじゃあ安心ですね。物質世界なんて慣れないことばかりなんで、ちょっと心配だったもので。でも添乗員さんが各自に付いてくれるなんてありがたいです。
店員)そうですね。ただ、ご存知の通り、地球は物質界なので、お客様が人間になられたら、添乗員の姿は見えなくなります。必ずそばにいるのですが、見えないので一人ぼっちになってしまったような感覚になるかもしれません。言葉も通じませんので直感とかテレパシーとかで伝わることになります。
私)え?見えないんじゃ意味ないっすよね?
店員)大丈夫です。わが社の添乗員は優秀な人達ばかりなので、今だかつて問題となったことはございません。ちなみに地球では添乗員のことを“ガイド”と言っております。いや、日本では“守護霊”という名前らしいです。
私)“守護霊”ですか?まあなんでもいいですけど。
店員)ごくごくたまになのですが、地球が気に入ってしまって帰ってこない方がいるのです。まあ、それを浮遊霊と言うのですけど、そうなると、もうこちらに帰還するのが難しくなってしまいますので、十分に気をつけてください。
私)ああー浮遊霊ねえ。私は気をつけますので大丈夫です。
店員)それと、地球ツアーズご出発の際は、一時的にこの世の記憶にアクセスできなくなります。あの世とこの世の記憶が混乱すると、日常生活に支障をきたしますのでね。この世に帰還したら自動的にアクセス制限が解除されますので、ご安心ください。
私)え?この世とアクセスできないの?
店員)そうなのですよ。だからすっかりこの世のことを忘れてしまって、人間界にどっぷり浸かってしまっている人がいたりするのです(笑)。
私)分かりました。ではストーリーを決めて行って来ます。
店員)ぜひ、楽しんできてください!
そして私は生まれました(笑)。
この世の出来事は全て幻想でしかない!
この世とは、あなたの思考が作りだしたあなただけの世界なのです。
例えば、あなたの目の前に一本のペットボトルがあるとします。
中身はお茶です。
これについて、思った感想を100文字で書いてください。
さて、ここからがとても大切な話です。
目の前にあるお茶の入った一本のペットボトル。
これをどう解釈するかは、人の数だけの解釈がありますよね。
思った感想の100文字が、全く同じ人というのは絶対にいないのです。
つまり、同じ世界を見ている人は、この世界には二人といないと言うことなのです。
あなたが見ている世界とは、あなただけの解釈によって作りあげられている世界なのです。
あなたが見ている世界と、私が見ている世界は確実に違うのです。
世界が違うと言うよりかは、解釈が違うと言うことです。
もしあなたが結婚できなくて、人生において大きな欠落を感じているとしたら、それはあなたの解釈に過ぎません。
正解でもなく間違いでもないのです。
言い方を変えると、どうでもいいということです。
この世の出来事、この世の経験とは、本当に実在しているのかどうかも分かりませんし、どう解釈するかはみんな自由なのです。
あなたの人生を誰かが解釈することはできないのです。
なぜなら、あなたの人生はあなたの思考が作りあげているからです。
この世はあなたの思考が作りあげたディズニーランドなのです。
そこであなたは自分が経験したいことをリアルに経験しているだけなのです。
ですから、人生は深刻に考えても意味は無く、自作自演の茶番劇なんだから楽しく生きようって思ったほうがいいのです。
地球ツアーズですか。
しかし、生まれてきてもそれを知るすべがなくては恐ろしい場所だと思います。
戦争なんかが勃発している地域や時代、例えばはだしのゲンなんかの時代とか
絶対嫌だと思います。誰しもが。
知っていたら絶対来たいなんて思いません。
この次元で物事を考えると
確かに恐ろしい世界だと思います。
ですが、
あの世の次元から見るとそれは霊格をあげる
絶好の修行なのかもしれません。
いずれにしても
この次元で考えても真実は見えない
いうことですね。
そうですか。ありがとうございます。
でも戦争はなくなってほしいなあ。